奈良
ハーブ&スパイスで奥深い味わいに!気鋭のクラフトビール「奥大和ビール」
いくつものハーブやスパイスが重なり合い、深い香りを楽しめる奥大和ビール。奈良の長い歴史や自然がそのままパッケージされたような一杯を試してみませんか?
奈良県南部の山岳地帯と、東部に広がる高原から成る「奥大和」。奥大和の東部にあたる宇陀市は、日本書紀に「推古天皇が薬猟(くすりがり)を行った」という記述が残り、現在もハーブの一種である大和当帰(やまととうき)が栽培されるなど、古来より薬草やハーブと深い縁がある地域です。
そんな宇陀市で、ハーブやスパイスを使った多彩なクラフトビールを展開するのが新進気鋭のブリュワリー「奥大和ビール」。豊かな自然と歴史に恵まれた地で、どのようなビールづくりが行われているのでしょうか。その魅力をご紹介します。
奥大和の魅力をギュッと詰め込んだクラフトビール
奥大和ビールが拠点を構える大宇陀地区は、伊勢街道や松山街道などが交わる交通の要衝として栄えてきました。この地でクラフトビールづくりに取り組むのは、生まれも育ちも宇陀市という代表の米田義則さん。「宇陀にあったかつての宿場町のように、人と人、人とモノをつなげる場をつくりたい。そこで心安らげるクラフトビールを提供したい」。そんな思いを胸にブリュワリーを開業し、2018年から奥大和の地域性を活かしたビールづくりが始まりました。
奥大和ビールのテーマは「BOTANICAL & HERBAL」。ハーブやスパイス、さらには地元産の果実や薬草など、さまざまな素材を組み合わせたクラフトビールが展開されています。定番のスパイスダークは、香ばしくローストした麦芽にブラックペッパーや古来より薬草に用いられていたリコリス(甘草)などをブレンドし、奥行のある味わいに。アロマホワイトは、オレンジピールやコリアンダーといった6種類の素材をブレンド。華やかでフルーティーな香りと、ほんのり甘いスパイスのアクセントが印象的です。
地元・宇陀産のすももや、奈良県産ゆめのかいちご、奥大和のゆずなど、季節のフルーツを使ったシーズナルビールも展開。さらには、地元の有機農家とタッグを組んだ野菜フレーバーや、奈良のベーカリーの食パンを原料にしたものなど、ユニークなコラボレーションメニューでファンを驚かせます。
醸造所にタップルームとゲストハウスを併設
奥大和ビールはオンラインショップや地元の道の駅で販売されるほか、醸造所に併設するTAP ROOMでつくりたてを味わうことができます。
「宇陀は知る人ぞ知る名所がたくさんあって、一日では巡り切れないほど。伊勢や熊野に通じる要衝として栄えた松山地区の町並みや、樹齢300年を超える又兵衛桜、資料館や温泉施設もあります。散策の締めくくりに、TAP ROOMで乾杯していただければ!」
元々は酒屋を営んでいた古民家をリノベーションしたというTAP ROOMには、常時約10種類のクラフトビールがスタンバイ。杉の一枚板のカウンターや小上がりのほか、縁側で開放的な気分で飲む一杯も格別です。
2021年には「飲んで泊れる」をコンセプトにしたゲストハウス「TAP to BED」も開業。自慢のビールをゆっくり心置きなく飲んでもらえる工夫が凝らされています。
「当店を訪れるお客様は、奈良市内や大阪、京都といった近郊から車で移動する方がほとんど。わざわざ宇陀まで足を運んでもらったのに、『車を運転するから飲めない』というのはもったいない。観光もビールも、気兼ねなく楽しんでいただきたいですね」
アート作品のような自由さと香りの重なりを楽しんで
ハーブやスパイスの香りはとても繊細。細かな調整を繰り返しながら、慎重かつ大胆なビールづくりが行われています。「アート作品のように、自由な発想でつくれるのがクラフトビールの面白いところです」と米田さん。
国内ビールの品評会「Japan Great Beer Awards 2023」では、出品した3品目すべてが入賞という快挙を達成!その勢いは増すばかりです。
いくつものハーブやスパイスが重なり合い、深い香りを楽しめる奥大和ビール。奈良の長い歴史や自然がそのままパッケージされたような一杯は、飲むたびに新たな発見がありそうです。