京都

まるでアート!筆文字で京都を彩る「デザイン書道」の魅力/デザイン書道家・臼井鳳九さんインタビュー

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京都の風情ある町並みに溶け込む、個性豊かな看板。よく見ると、流麗なものやハッと目を引く力強いものなど、アート作品のような筆文字が使われていることに気づくはずです。 お店の顔である看板の揮毫を数多く手がけ、「デザイン書道家」として活躍中の京都在住の臼井鳳九(うすいほうきゅう)さん。その仕事ぶりや、書道への想いなどをお聞きしました。

目次 index

  1. グラフィックデザイナーから「デザイン書道家」へ
  2. 「100年先の日常」にある文字を書きたい
  3. 京都で「デザイン書道」の魅力を体験して

京都の風情ある町並みに溶け込む、個性豊かな看板。よく見ると、流麗なものやハッと目を引く力強いものなど、アート作品のような筆文字が使われていることに気づくはずです。

お店の顔である看板の揮毫を数多く手がけ、「デザイン書道家」として活躍中の京都在住の臼井鳳九(うすいほうきゅう)さん。その仕事ぶりや、書道への想いなどをお聞きしました。

臼井鳳九(うすいほうきゅう)さん

グラフィックデザイナーから「デザイン書道家」へ

子どもの頃から絵が大好きで、習字も得意だった臼井さん。大学でグラフィックデザインを学び、卒業後はDTPオペレーターや美術印刷の営業として、東京と京都の印刷会社で10年間経験を積みました。グラフィックデザイナーとして独立し、自分の作品と言えるものをゼロから生み出したい。そう考えるようになったとき、頭をよぎったのは子どもの頃に習っていた書道のこと。
「学生時代、大河ドラマや世界遺産の題字を手がけていた武田双雲先生の作品に衝撃を受け、主宰されていた体験教室に通ったこともあるくらい、書道の世界に興味は持っていました。今まで培ったデザインのスキルと書道を組み合わせて、“デザイン書道家”として起業したらいいのではないかと」
武田双雲氏の弟である武田双鳳氏が京都で教室を主宰していることを知り、迷わず師事。書道の世界の奥深さに魅了されたと言います。

「学べば学ぶほど、書は絵やデザインと考え方が似ていることがわかりました。1500年以上前の書がデザインとしてめちゃめちゃ計算されていて、驚きましたね」
デザインの経験を積んでいたからこそ見えた、新たな世界でした。

「100年先の日常」にある文字を書きたい

武田双鳳氏のもとで本格的に書道を学び、デザイン書道家として起業を果たした臼井さん。ほどなくして、店舗の看板や書籍の題字、カレンダーや年賀状まで、さまざまな依頼が臼井さんのもとに舞い込みます。

依頼主が心に秘めた物語を引き出し、イメージを膨らませながら筆を動かすのが、臼井さんのスタイル。「お店やものづくりを始めたい」と考えるようになったきっかけ、立地や価格帯、さらには将来の夢や目指す姿まで、じっくりと会話を重ねながら生み出す文字は、一つとして同じものがありません。

「100年先の日常の中に私の文字があるという風景を想像して書いています。依頼主の方に喜んでもらえることや、『町を歩いていたら臼井さんの書を見かけましたよ!』と言ってもらえることが嬉しいですね」

アートやデザイン、パフォーマンスの要素を交えた臼井さんの作品は、数々の賞にも輝きました。なかでも印象に残っているのは、ふたば書道会『たなばた展』アート部門で最優秀賞・双雲賞を受賞したことだそう。

「創設されたばかりのアート部門で、審査員長は尊敬する武田双雲先生。師匠からも『初代王者に』と熱いエールを送られていたので、受賞は嬉しかったですね。アートって何だろう?と必死で試行錯誤して生まれた『鳳』と『凰』の作品は、師匠に出会っていなかったら絶対に生まれていなかったと思います」 臼井さんが手がけた作品は京都を中心に各地で増え続け、公式サイトにも随時公開されています。

京都で「デザイン書道」の魅力を体験して

臼井さんは自分の作品を手がける一方で、京都市内でデザイン書道の教室「造-ZOU」を主宰し、デザイン書道の魅力を多くの人に伝える活動を続けています。
「どんな角度で、どんな太さで書きたいか、今ここで筆をカスレさせたいか、文字を通して自問自答を続けられるのが書道のいいところです。大人になると自分と会話することって案外なくなるでしょう?なかなか清々しいものですよ」

本格的なカリキュラムのほかに、不定期で体験教室も実施中。
「デザイン書道は、伝統的な書道をベースに、現代的な要素やアイデアを取り入れて書くもの。ご自身の思わぬ創造性を発見しにきてください」
町で目が離せなくなる看板に出会ったら、それは臼井さんの作品かもしれません。「こんな文字を書いてみたい」と思ったら、旅の思い出にぜひチャレンジしてみては。

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