宮城
世界三大漁場・気仙沼で海藻食文化の魅力を未来に伝える「磯の香り本舗 小野徳」
宮城県沿岸部の最北に位置する気仙沼。世界三大漁場の一つであり、カツオやサンマ、マグロなど様々な魚が水揚げされる、活気あふれる港町としても知られています。
寒流と暖流が交じり合う三陸の海は、海藻を育む「藻場(もば)」でもあります。海苔やワカメ、昆布などが盛んに養殖されるほか、ヒジキやフノリといった天然の海藻も多種多様です。
そんな気仙沼で、バラエティ豊富な海産乾物を取り扱うのが「磯の香り本舗 小野徳(以下、小野徳)」。豊かな海がもたらす海藻の魅力をご紹介します。
海の恵み豊かな気仙沼で「藻食伝承」に挑む
小野徳の創業は1930(昭和5)年。金物店としてスタートし、米穀商や乾物商といった時代のニーズに応じた商いを続け、戦後に三陸の海苔やワカメなどの海藻を主に取り扱う海産乾物の卸問屋になりました。現在は、関連企業である「一番」が製造するオリジナル製品も扱い、気仙沼市内の実店舗やWEBサイトでの小売販売にも力を入れています。
テーマに掲げるのは「藻食伝承(そうしょくでんしょう)」。海藻食は世界的にも珍しい日本の文化。伝統的な食文化を見直して健康な身体づくりに貢献し、消費者と海藻を採取する漁師さんとの架け橋になりたいという大きな目標に挑んでいます。 ブログを通じて子どもたちに海藻について知ってもらう「気仙沼の藻場と海藻を学ぼうプロジェクト」や、地元の小学校で行う海藻についての出張授業など、次世代に海藻食文化を受け継ぐ活動にも積極的に取り組んでいます。
旨味たっぷりの海藻はご飯のお供やサラダ、お酒のアテにも!
小野徳の数ある商品の中でも、とくに人気を呼んでいるのが「焼のり 宮城県産みちのく寒流のり一番摘み」です。海苔網から最初に伸びた芽を摘む「一番摘み」は、柔らかさや風味の強さが特徴。その中でもとくに力強い旨味を持つものを厳選し、自社工場で丁寧に焼き上げます。口に入れた瞬間に濃厚な旨味と磯の香りが広がり、パリパリと小気味よい歯ざわりの後にさらりと溶けていく、絶妙な食感がヤミツキに。おにぎりや手巻き寿司はもちろん、お酒のアテにも最適です。
関連会社の「一番」が手がける「荒削りとろろ昆布」は、ちぎりやすくどんな料理にも合う、家庭料理の強い味方。酸味をおさえ、シンプルで飽きのこない味わいも人気の理由です。
カツオの削りぶしにきざみ海苔とごまをたっぷり混ぜこんだ「かつおふりかけ」は、ご飯のお供やサラダのトッピングに。東日本大震災で一度途絶えたものの見事復活を遂げ、創業以来の味が守り続けられている逸品です。 宮城県産みちのく寒流のりに青さのりとまぐろ削りを混ぜこんだ「寒流のり まぐろ入りのり佃煮」は、回転釜でかき混ぜながら5時間半じっくり煮込んで一晩寝かせた自慢の佃煮です。白いご飯はもちろん、トーストにのせても絶品だとか。幅広い料理に取り入れられるのも、海藻の魅力と言えるでしょう。
「もしも」の備えや日々の健康にも海藻が大活躍
食物繊維やミネラルが豊富な海藻類は、日ごろの料理に積極的に取り入れたいもの。ですが、「メニューがマンネリ化しがち」と悩む人も多いのではないでしょうか。
「小野徳の公式SNSでは、海藻を取り入れたレシピを発信していますので、ぜひご参考になさってください。とろろ昆布を野菜に巻いてみたり、メカブと海苔を丼ものにたっぷり乗せたり、焼き物や煮物にも活用できます。アヒージョやトーストなどの洋食にも、意外に合いますよ」と話してくれたのは、“小野徳かあちゃん”こと、小野寺浩子さん。
さらに、東日本大震災で大きな被害を受けた経験から「災害などの“もしも”の備えにもぜひ海藻類を活用してほしいです」と思いを語ってくれました。非常時の食事は、すぐにエネルギーになるパンやご飯などに偏りがち。海藻の乾物は、不足しがちなミネラルや食物繊維を補うことができ、常温で長期保存が可能な優れモノなのです。 「便秘症に悩む方に“朝食に海苔を食べてみては”とご提案したところ、長年の便秘が解消したということもありました。健康のためにも、いろんな料理にご活用ください」と小野寺さん。気仙沼から届く磯の香りで旅情を味わいつつ、旅を楽しめる健康な体を維持したいものです。